懐かしいやわらかい白湯。

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実家に暮らしていた頃は、昔から使っている南部鉄器でお湯を沸かしお茶や珈琲を飲んでいました。その頃はそれが当たりませの生活であって、普通の日常の景色でした。南部鉄器への興味もさほどなかった。アートディレクターという仕事をしながら歳を重ね、いろいろな美術品や工芸品やファッションなどに興味を持ち、侘び寂びもわかるようになった。

南部鉄器が欲しいと探していたもののなかなかコレといったものに出会えないまま数年が経っていました。先日ふらっと入ったお店で、素敵な出会いがありました。

お店に入った瞬間に店の奥から男性の声。
「さて、この中で一番美味しいお茶を入れれるのはどの鉄瓶でしょう?」
不意を突かれたというか、質問が飛んでくると思わないタイミングで回答を求められた私は正直焦りました。なんだこの店・・・

店主の話は、それから発展してどんどん繰り広げられます。普通ならここでお腹いっぱいになってしまうでしょうね。ですが、私たちは南部鉄器に興味を持ち数年間探してきているので話の脈絡が理解できたというか、店主の話術にやられたというか。

鉄瓶の良さや作る工程メンテナンスまで色々とお話しして、カメラや音響の話まで広がりました。この店主と私は趣味が似ているというか、私の興味がることをたくさん知っているので引き込まれていきました。
私なりの鉄瓶へのこだわりを話しながら、ついに数年間探してきた南部鉄器の旅のゴールを迎えることになりました。

こんな模様がいいな、こんなフォルムがいいな、こんな大きさがいいな。
たくさんたくさん考えて自分なりの理想を作り上げていたのですが、購入したのはベーシックでシンプルなもの。値段も想定の半分以下。

それはなぜか。
私は、南部鉄器を飾りや置物として捉えていないので、毎日使い生活の一部になるものとして捉えていたからです。店主とのお話の中でここが一番一致してというか、意見が合ったところでした。
毎日使用し、おもに時を重ねていくことができる鉄瓶で毎日何人でお茶を飲むか。そこが重要でした。

南部鉄器は使用しないと錆びます。
鉄瓶の内側が琺瑯加工されていて「錆びません」という商品も中にはありますが、それなら鉄瓶を買う意味が全くない。加工していない鉄のままの鉄瓶こそが南部鉄器です。
その鉄瓶が錆びて朽ち果てないように育てていくことが私が求めていた日々の生活です。

私が南部鉄器を探す中で美化しすぎていた、理想の模様やフォルム。それは普段使っていく南部鉄器ではありません。基本的なことを見失っていた私に気がつかせてくれた、このお店の店主との出会いはとても大切なものになりました。だから、ここで購入することにしました。
そういうであいで買い物するのもありですよね、それが長い時間使っていくモノならなおさら。

この店主が入れてくれた南部鉄器で沸かした白湯を頂いた時、懐かしさがこみ上げました。それは、何十年と飲んでいなかった実家の白湯の話や若さと同じものでした。祖母が入れてくれた白湯の味。
これを思い出せたのも何かの縁ですね。

懐かしいやわらかい白湯。” に対して2件のコメントがあります。

  1. 3383jiji より:

    初めまして、3383jiji
    と申します。
    ひょいと、このペ-ジを見つけました。
    岩手の水沢の出身です。なので、南部鉄器の懐かしさが
    思い出されて、コメントしたしだいです。
    もしかしたら、このブログのかたは、エキサイトでUPされているかたでしょうか?
    以前、拝見したような感じがします。
    間違いでしたら、お許しください。
    また、機会がありましたら寄らせてください。

  2. owner より:

    3383jijiさん

    このブログに書いた店主は、エキサイトでブログされてます!
    知識がたくさんありとてもお話が面白い方でしたよ。
    素敵な写真もいっぱいなのでとてもきになる存在です!

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