待ち時間を楽しむこと、それは贅沢な時間。
カメラを持って風景を撮りに出かけるようになってから、それまでの生活にはなかった『待ち時間』という時間の使い方がふえました。日常は仕事が忙しくて『待ち時間=無駄な時間』という感じでしたが、その概念をガラッと変えてくれたのは写真を始めてからでした。その無駄な時間は日常に数回起こることがありますが、すぐに過ぎて欲しい時間でした。無駄な時間なのですから。
早起きしてサンライズを撮りに行く、朝しか撮れない光の感じが欲しいとき。美しい景色とサンセットを撮りたいとき。雲ひとつない星空を撮りたいとき。それぞれにベストなタイミングを探るため『待ち』の状態が生まれます。同じ時間、同じ場所にカメラを持った方々いることがあります。もちろん顔なじみでもないし、たまたまそこに居合わせたヒト。共通点と言えば、今から訪れる素敵な景色を撮りに来たということだけ。
この日、千畳敷からサンライズ写真に収めたいと思い早起きをしました。ホテルの窓から外を見るとまだ真っ暗で、眼下には遠くに街の光が光っていました。日の出まであと30分、寒さ対策バッチリな完全装備に着替え外に出てみると真っ暗なのに人の気配がありました。自分好みな場所を探して、カメラと三脚をセットして時計を見るとまだ20分くらいはありました。カメラをセットするのも標高2,600mなのでとても寒い。
空はうっすらと明らみはじめ、南アルプスの陰影が見え始めました。この『待ち時間』は無駄な時間ではなく、贅沢な時間なのです。これから観ることができるであろう、美しいサンライズを想像しながら「この場所でよかったかな?」「あの山はなんて山だろう?」「もう少し雲薄くならないかな」などなど、期待感に胸が躍ります。雲の流れや風の音、遠くから聞こえる顔なじみ同士?のカメラについての面白そうな話をこっそり聴いたり。日常の時間の流れとは違うので、心が落ち着く時間というかオフに出来る瞬間、心を整える時間なのかもしれません。
不思議なのは、見ず知らずの人だったのに”その時”が訪れた瞬間に謎の一体感が出ること。私だけなのかな、勝手な仲間意識。それは極寒、山頂など環境がハードな時の方が一体感を感じやすい気がします。感動を共有する瞬間なのかもしれませんね。だから『待ち時間=贅沢な時間』だと思います。時間の過ごし方は見方を変えるだけで全然違うものになりますね。
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初めましてこんにちは。
素敵な写真がたくさんなので、ついついコメントしたくなりました。
場の空気感と一体感わかります。同じ被写体を狙う仲間でありライバルでもありって感じで。待っていた景色を観れた瞬間の感動、高揚感は一体感を生みますよね。
sweetboyさん、はじめまして。
拙い文章にもかかわらず、理解していただける方がいてとても嬉しいです!その場でしか味わえない臨場感は良いですよね。